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延暦17年（798年）奥州会津出身の大領は十一面観世音菩薩の尊像を建立したいと強く願っていました。
奥州の文殊堂に籠り、尊像を彫るための霊木を得られるよう祈祷していると、七日目の明け方文殊大士のお告げで霊木を手に入れることができました。
霊木を手に入れた大領は、京に戻り尊像を完成させました。
出来上がった尊像を奥州に持ち帰ろうとすると、観音像は近くにあった藤の蔦を杖に変え、御笠を被り、草鞋を履いて自ら歩き出しました。
途中、美濃の赤坂まで来た時、観音像は立ち止まり「奥州までは行かず、ここより北の山中に結縁の場所があるので、そこで苦しんでいる人々を救いたい」と北に向かい歩きだしました。
谷汲山にたどり着くと、観音像は動かなくなり、大領はここが結縁の地なのだろうと柴の庵を建てました。
その地に豊然上人が住んでいたので、大領は上人と力を合わせ堂宇を建て、尊像を安置しました。
すると堂宇近くの岩から油が湧き出し尽きることがありませんでした。

この話を聞いた醍醐天皇は谷から湧き出る油を汲んで灯に使ったことにちなみ「谷汲山・華厳寺」の寺号を下賜されました。

天慶7年（944年）朱雀天皇が鎮護国家の道場として勅願所に定められました。

その後は足利氏と新田氏の戦乱や美濃守貞満の乱など何度か諸堂伽藍を焼失しましたが、御本尊は残りました。
華厳寺は衰退していきましたが文明11年（1479年）薩摩の道破拾穀上人の夢に観世音菩薩が現れ「華厳寺に縁のある僧よ、早く来て諸堂を再建しなさい。」と告げられました。
上人は海や山を越え、谷汲山へやってきて本堂や諸堂を再建しました。

西国三十三所観音巡礼の満願霊場になる華厳寺です。

参道には多くの土産物屋が立ち並び賑わっています。

結願する華厳寺での御朱印は3種セットになります。
現世を現す本堂の御朱印、過去世を表す満願堂の御朱印、未来世を現す笈摺堂の御朱印を頂きます。
また、満願之証を授与していただくこともできます。

本堂の柱には青銅でできたの鯉「精進落としの鯉」があります。昔は精進料理だけを食べ巡礼していて、巡礼を終え俗世に戻るために「精進落とし」をしていたそうです。

本堂裏には笈摺堂があり、巡礼の間着ていた「笈摺（おいずる）」という白装束を,無事巡礼できたことを感謝して奉納する習わしがあります。

さらに奥には満願堂があり、巡礼の結願を報告します。

2019.11.16　参拝






御朱印：大悲殿




御朱印：満願堂




御朱印：笈摺堂

宗派：天台宗
御本尊：十一面観世音菩薩
ご詠歌：本堂（現世）　世を照らす　仏のしるし　ありければ　まだともしびも　消えぬなりけり
　　　　満願堂（過去世）　万世の　願いをここに　納めおく　水は苔より　出る谷汲
　　　　笈摺堂（未来世）　今までは　親と頼みし　笈摺を　脱ぎて納むる　美濃の谷汲
所在地：〒501-1311　岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23

拝観時間：8:00~16:30
入山料：無料
駐車場：あり
公式ホームページ：http://www.kegonji.or.jp/

（2025年12月現在の情報）